昨日はパネトーネのレッスンでした。生徒様が「パネトーネって聞いたことなかったです」とおっしゃって、改めて実感したんです。パネトーネって、日本ではまだまだ知名度が低いパンなんだなって。
12月になると、シュトーレンはデパートやパン屋さんでよく見かけますよね。でも、パネトーネはほとんど見かけない。同じクリスマスの伝統的なパンなのに、なぜこんなに差があるんでしょう?
パン教室の講師として、実際にパネトーネを作り、生徒様の反応を見てきた私だからこそ分かる、パネトーネの魅力と日本で普及していない理由をお伝えします。

パネトーネとは?イタリア発祥の伝統クリスマスパン
パネトーネの歴史と特徴
パネトーネは、イタリア・ミラノ生まれの伝統的なクリスマス菓子パンです。ドーム型の可愛らしい形が特徴で、ふわっと軽い食感が魅力なんです。
ドライフルーツやオレンジピールがたっぷり入っていて、食べると爽やかな柑橘の香りが口いっぱいに広がります。バターの豊かな風味もあって、でも重たくない。そんな不思議な美味しさがあるんですよ。
イタリアでは、クリスマスシーズンになると、どの家庭でもパネトーネを食べる習慣があります。まさに、イタリアのクリスマスに欠かせない存在なんです。
パネトーネ種とは?特別な酵母が生む独特の味わい
パネトーネが他のパンと違うのは、「パネトーネ種」という特別な酵母を使うこと。これ、実はすごく特殊なものなんです。
パネトーネ種は、イタリア北部で100年以上も受け継がれている天然酵母。乳酸菌と酵母が一緒に生きている「複合酵母」で、この酵母こそが、パネトーネ独特の風味としっとりふんわりとした食感を生み出しているんですね。
しかも、この酵母を使ったパネトーネは、長期保存ができるんです。普通のパンだと数日で固くなってしまうのに、パネトーネは何週間も美味しさが続くんですよ。

パネトーネが日本で普及していない3つの理由
シュトーレンは日本でもすっかり定着しているのに、なぜパネトーネは普及していないんでしょう?パン教室を運営する中で、私なりに考えてみました。
理由1. パネトーネ種の管理が難しく製法が複雑
最大の理由は、パネトーネ種がとてもデリケートで扱いが難しいことです。
この酵母、イタリア北部の気候や環境に合わせて育ってきたものなので、日本で育てるのはとても大変。温度や湿度の管理が少しでも狂うと、うまく発酵してくれないそうなんです。
さらに、発酵時間がとても長いのも特徴です。普通のパン酵母なら1時間程度で発酵が終わるのに、パネトーネ種を使うと10時間以上かかります。
お店によっては数日かけて作るところもあるそう。
レッスンでも、生徒様がこの発酵時間の長さに驚かれることが多いんです。「そんなに待つんですか!」って(笑)。
この手間と時間がかかる製法が、日本のパン屋さんやケーキ屋さんにとって、大量生産の大きなネックになっているんですね。他の商品も作りながら、10時間以上も発酵を管理するのは、正直かなり大変です。
理由2. シュトーレンとの競合で認知度に差
日本では、クリスマスのパンといえばシュトーレンというイメージが強いですよね。
シュトーレンはドイツ発祥で、日本には比較的早くから入ってきたそうなんです。表面に真っ白な粉糖がかかっていて、見た目も華やか。日本人が好む「しっとり感」もあって、クリスマスのお菓子として定着していったんです。
しかも、シュトーレンは特殊な酵母を使わなくても作れます。一般的なパン作りの技術で比較的作りやすいので、多くのパン屋さんが扱いやすかったという面もあるでしょう。
先に広まったシュトーレンが市場を占めてしまって、後から入ってきたパネトーネが入り込む余地が少なくなってしまった、というのが実情だと思います。


理由3. 輸入ルートと歴史的背景の違い
これは少し歴史的な話になりますが、日本にはドイツの洋菓子文化の方が早く根付いたという背景があります。
バウムクーヘンやシュトーレンなど、ドイツ菓子は明治時代から日本に紹介されてきました。一方、イタリア菓子が本格的に入ってきたのは、もう少し後の時代なんです。
この「先に入ってきたかどうか」という歴史的な違いも、現在の知名度の差につながっているのかもしれませんね。
パネトーネ種パウダーなら家庭でも作れる!
「じゃあ、パネトーネって家庭では作れないの?」と思われるかもしれませんが、実は良い方法があるんです。
パネトーネ種パウダーとは
「パネトーネ種パウダー」という便利なものが販売されているんですよ。これは、扱いが難しいパネトーネ種を、使いやすい乾燥粉末にしたもの。
ただし、このパウダー自体には発酵力がないので、普通のイーストと併用して使います。パネトーネ種パウダーは、あの独特の酸味と風味、柑橘やバニラのような爽やかな香りを演出するために使うんですね。
これがあれば、特別な酵母を管理しなくても、パネトーネらしい風味を楽しめるようになります。
自家製酵母との組み合わせで本格的な味わいに
私の教室では、さらに工夫をしています。パネトーネ種パウダーだけでは出せない、奥行きや旨み、甘味、熟成感を出すために、「麹種(こうじだね)」という自家製酵母を併用しているんです。
麹種を使うことで、より深い味わいと複雑な風味が生まれます。
生徒様からは「パネトーネってこんなに美味しいんだ!」と言っていただけることが多くて、とても嬉しいです。

パネトーネとシュトーレンの違いを比較
よく「パネトーネとシュトーレンって、どう違うんですか?」と聞かれるので、分かりやすく比較してみますね。
食感・風味の違い
パネトーネは、ふわっと軽くて柔らかい食感。爽やかな柑橘系の香りが特徴で、バターの風味もありながら、とても軽やかなんです。
一方、シュトーレンは、しっとりと重厚な食感。バターとスパイスの香りが強くて、濃厚な味わいが特徴です。
パネトーネは「軽くてぺろっと食べられる」、シュトーレンは「少しずつ味わって食べる」という感じでしょうか。
製法と保存性の違い
パネトーネは、特殊なパネトーネ種を使い、長時間発酵させて作ります。その結果、長期保存が可能になります。
シュトーレンは、通常のパン酵母で作り、焼き上がった後にバターをたっぷり塗ってコーティングすることで、保存性を高めています。
どちらもクリスマスシーズンを通して楽しめる、日持ちの良いパンですが、製法はまったく違うんですね。
生徒様の声「シュトーレンより軽くて食べやすい!」
レッスンで作ったパネトーネを試食していただくと、「すごくしっとりふんわりしていて、柑橘の爽やかさがとてもいい!」「バターの風味がとても良くて、軽くてぺろっと食べられちゃいますね!」という声をたくさんいただきます。
特に、「シュトーレンは重たくて少しずつしか食べられないけど、パネトーネなら何個でも食べられそう」とおっしゃる方も多いんです。
この軽やかさこそが、パネトーネの最大の魅力だと私は思っています。
パネトーネの魅力をもっと広めたい
正直なところ、こんなに美味しいパネトーネが、日本でほとんど知られていないのは、もったいないと思うんです。
シュトーレンも美味しいですが、パネトーネの軽やかさ、爽やかさは、また違った魅力があります。特に、「シュトーレンは重たすぎる」と感じている方には、ぜひ一度試していただきたいですね。
私がパネトーネのレッスンを開催しているのは、この美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいから。実際に作って、食べて、その魅力を体験していただきたいんです。
レッスンに参加された生徒様は、みなさん「知らなかったのが残念!」「もっと早く知りたかった」とおっしゃいます。それだけ、パネトーネには人を魅了する力があるんですね。

まとめ
パネトーネとは、イタリア・ミラノ発祥の伝統的なクリスマスパン。特別なパネトーネ種という酵母を使い、長時間発酵させて作る、ふわっと軽い食感が魅力のパンです。
日本で普及していない理由は、主に次の3つ。
- パネトーネ種の管理が難しく、製法が複雑
- シュトーレンが先に定着してしまった
- 輸入ルートと歴史的な背景の違い
でも、パネトーネ種パウダーを使えば、家庭でも挑戦できます。自家製酵母と組み合わせれば、より本格的な味わいも実現可能です。
シュトーレンより軽い口当たりで、爽やかな柑橘の香りが楽しめるパネトーネ。この冬、ぜひ一度試してみませんか?
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