
パン作りに慣れてきたあなたへ
パン作りを始めて少し経つと、最初に使っていたレシピ本だけでは物足りなくなってきませんか?
私もそうでした。色々なレシピ本を買ったり、YouTubeで海外のパン作り動画を見たり。でもそこで必ず出会うのが、初めて聞く専門用語なんですよね。
「ホイロって何?」「中種法ってストレート法と何が違うの?」「クープって切り込みのこと?」
そんな疑問、きっとあなたも経験しているはずです。
私もその度に調べて、メモして、実際に試して…を繰り返してきました。まだまだ知らない言葉もたくさんありますが、今の時点で私が理解している専門用語を、あなたとシェアしたいと思います。
この記事では、パン作りのレシピ本でよく見かける専門用語を、わかりやすく解説していきます。少し中級者向けの内容も含まれていますが、一つずつ丁寧に説明するので安心してくださいね。
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自己紹介
高校卒業してから23年勤めた、航空自衛隊を退職。2024年に自宅教室「こだわり酵母パン教室フリーゼ」をオープン。
“自分時間を大切に”“職場でも家でもない場所に居場所を作る”そんな教室作りをしています。ホームベーカリーで叶える“無理しない”パン生活で、ふんわり美味しいパンをいつでもそばに。『簡単に、でも本格的に!』をモットーに、生活にワクワクをお届けします!
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パン作りレシピ本でよく見る専門用語とは?

レシピ本で専門用語が多い理由
パン作りのレシピ本って、不思議なくらい専門用語が多いですよね。
実はこれには理由があるんです。パン作りはヨーロッパ、特にフランスで発展した文化なので、フランス語由来の言葉がそのまま使われることが多いんですね。
例えば「ルヴァン種」はフランス語の「Levain(ルヴァン)」から、「クープ」はフランス語の「couper(切る)」から来ています。
それに、パン作りは繊細な技術の積み重ね。ちょっとした工程の違いで、まったく違うパンができあがります。だから、正確に伝えるために専門用語が必要なんです。
専門用語を知るメリット
「難しそう…」と思うかもしれませんが、専門用語を理解すると、パン作りが格段に楽しくなります。
メリット1:レシピの理解度が深まる
「なぜこの工程が必要なのか」がわかるようになります。
メリット2:失敗の原因がわかる
「過発酵だったんだ」「ベンチタイムが短かったかも」と自分で判断できるようになります。
メリット3:応用が効くようになる
基本を理解していれば、レシピをアレンジしたり、自分好みのパンを作れるようになります。
【製法別】パン作りレシピ本の基本用語
パン作りには、いくつかの「製法」があります。これはパンを作る手順の違いのこと。まずはここから理解していきましょう。
ストレート法(直捏ね法)とは
ストレート法は、パン作りの基本中の基本です。
材料を全部一度に混ぜて、そのまま発酵させて作る方法。「ミキシング → 一次発酵 → 分割 → 成形 → 最終発酵 → 焼成」という流れです。
初心者向けのレシピ本は、ほとんどがこのストレート法。手早く簡単に作れるのが最大のメリットです。
私も最初はこの方法でずっとパンを作っていました。シンプルで失敗が少ないので、まずはストレート法をマスターするのがおすすめですよ。
中種法(なかだね法)とは
中種法は、少しステップアップした製法です。
最初に小麦粉の一部・水・酵母で「中種」という生地を作って発酵させ、後から残りの材料を加えて本捏ねする方法。
「中種作り → 中種発酵 → 本捏ね → 一次発酵 → 分割 → 成形 → 最終発酵 → 焼成」という流れになります。
手間はかかりますが、風味が豊かで、ふんわりしたパンができあがります。食パンやリッチなパンでよく使われる製法です。
発酵種法(ルヴァン種・サワー種)とは
発酵種法は、さらに本格的な製法です。
「発酵種」という、酵母と乳酸菌を培養した種を使ってパンを作ります。ルヴァン種やサワー種が代表的ですね。
この種は「種起こし」という作業で最初に作り、毎日「種継ぎ」という継ぎ足しをして育てていきます。
手間はかかりますが、独特の酸味と深い風味が生まれます。ハード系のパンやカンパーニュを作るときに使われることが多いですよ。
私の教室では、まさにこの「ルヴァン種」を使用してパン作りをします。難しそうに見えて、教室で使用するルヴァンは作るのも管理もとても簡単なんですよ。

ポーリッシュ法・湯種法とは
ポーリッシュ法は、発酵種法の一種。粉と水を同量で混ぜた「ポーリッシュ種」を使います。中種法に似ていますが、よりゆるい生地を作るのが特徴です。
湯種法は、熱湯で小麦粉を糊化させた「湯種」を生地に加える方法。もちもちした食感と、しっとり感が出ます。
最近は食パンブームもあって、湯種を使ったレシピをよく見かけるようになりましたね。
【発酵・酵母】パン作りレシピ本の用語解説

発酵種・種起こし・種継ぎの違い
この3つの言葉、レシピ本でよく見かけるけど混乱しやすいですよね。
発酵種:酵母や乳酸菌を培養した”種”のこと
種起こし:発酵種を最初に作る作業
種継ぎ:発酵種に粉や水を足して、活動を維持する作業
つまり、「種起こし」で発酵種を作り、「種継ぎ」で育てるというイメージです。
発酵種を使うと、パンに独特の風味や酸味が加わります。ただし、毎日のお世話が必要なので、ペットを飼うような感覚ですね(笑)
ルヴァン種とサワー種の違いとは
どちらも「酸味のある発酵種」ですが、微妙に違います。
ルヴァン種は、ライ麦粉や全粒粉をベースにした発酵種。フランスパンなどで使われます。
サワー種(サワードウ)は、乳酸菌と酵母の混合発酵による発酵種。こちらも酸味がありますが、より強い酸味が特徴です。
ただし、レシピ本によっては同じ意味で使われることもあるので、文脈で判断する必要があります。
天然酵母の種類(ホシノ・白神こだま・酒種)
「天然酵母」という言葉もよく聞きますよね。
実は市販されている天然酵母にも、いくつか種類があります。
ホシノ天然酵母:最もポピュラーな天然酵母。種起こしが必要
白神こだま酵母:秋田県の白神山地から採取された酵母。予備発酵不要
酒種:お米と麹とお水から作られる酵母。日本酒のような香りが特徴。発酵力がとても強い
それぞれ風味が違うので、色々試してみるのも楽しいですよ。
過発酵とは?見極め方と対処法
過発酵は、パン作りでよくある失敗の一つです。
発酵が進みすぎて、生地の構造が弱くなってしまった状態のこと。生地がダレたり、ガスが抜けやすくなったりします。
見極めるポイントは、生地を指で押したときの戻り方。戻らなかったり、へこんだままなら過発酵のサインです。
過発酵を防ぐには、温度管理と時間管理が大切。レシピの時間はあくまで目安で、生地の状態を見て判断することが重要です。
【生地操作・成形】パン作りレシピ本の実践用語


ミキシング(捏ね)の基本
ミキシングは、材料を混ぜて捏ねる工程のこと。
ただ混ぜるだけでなく、グルテンという網目構造を形成するのが目的です。グルテンができると、生地に弾力が生まれて、ガスを保持できるようになります。
手ごねでもホームベーカリーでも、この工程は必須。こねすぎてもこね不足でも、美味しいパンはできません。
フロアタイム・パンチ・ガス抜きとは
フロアタイムは、一次発酵の時間のこと。昔からの業界用語ですね。
パンチは、発酵中の生地を軽く押さえる操作。ガス抜きとも言います。
なぜこれをするかというと、新しい酸素を供給して酵母を活性化させたり、グルテンの緊張を整えたりするため。レシピによっては「パンチをする」と書いてあることもあります。
分割・丸め・ベンチタイムの意味
発酵後の生地は、いくつかの工程を経て成形されます。
分割:生地を一定の重さに切り分けること
丸め:分割した生地を丸く整えること
ベンチタイム:丸めた後、成形前に休ませる時間
特にベンチタイムは重要です。生地に張りを持たせすぎると成形しにくいので、ここで生地を緩ませて扱いやすくするんです。
「ベンチ」は英語の「作業台」から来ている言葉。作業台で休ませる時間、というイメージですね。

成形技術の用語(棒状・丸型・編み込み)
成形は、パンの最終的な形を作る工程。
バゲットなら棒状、丸パンなら丸型、食パンなら折り込み…というように、パンの種類によって成形方法が変わります。
成形の仕方で、食感や気泡の入り方も変わるんですよ。だから、同じ生地でも成形が違えば、まったく違うパンになるんです。
最終発酵(ホイロ)とは
ホイロは、成形後の最終発酵のこと。
「ホイロ」という言葉、初めて聞くと不思議ですよね。これは業界用語で、発酵室や発酵庫のことを指す言葉でもあります。
最終発酵で生地を十分に膨らませることで、ふんわりした焼き上がりになります。ここでの発酵の見極めが、パンの出来を左右すると言っても過言ではありません。
クープの入れ方と窯伸びの関係
クープは、焼成前に生地表面に入れる切り込みのこと。
なぜ切り込みを入れるかというと、ガスの逃げ道を作って、窯伸びを誘導するため。
窯伸び(オーブンスプリング)とは、焼成直後に生地が急激に膨らむ現象のこと。クープの入れ方次第で、パンの表情がガラリと変わります。
切る深さ、角度、方向…すべてが仕上がりに影響します。奥が深くて面白い工程ですよ。


「クープの入れ方」についてのブログもぜひ読んでみてね^^♪
【材料・配合】パン作りレシピ本の用語集

ベーカーズパーセントとは
ベーカーズパーセントは、レシピの書き方の一つ。
小麦粉を100%として、他の材料を比率で表す方法です。
例えば、小麦粉200gに対して水120gなら、(120÷200×100=60)水は60%。こうすることで、レシピの拡大・縮小が簡単にできるんです。
中級者以上のレシピ本では、よくこの表記法が使われています。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れるととても便利ですよ。
「ベーカーズパーセント」について詳しく知りたい方はこちらもお読みください。
水分率(ハイドレーション)の重要性
水分率(ハイドレーション)は、粉に対する水の比率のこと。
水分率が高いと、気泡が大きくなりやすく、もちもちした食感になります。ただし、生地が扱いにくくなるというデメリットも。
バゲットなどのハード系パンは水分率が高め、食パンなどのソフト系は中程度、というように使い分けます。
リーンパンとリッチパンの違い
パンは大きく2つに分類できます。
リーンパン:副材料(砂糖、バター、卵など)をほとんど使わないシンプルなパン
リッチパン:副材料をたっぷり使った、甘くて柔らかいパン
リーンは「痩せた」、リッチは「豊かな」という意味。材料の豊かさで分類されているんですね。
バゲットやカンパーニュはリーン、食パンやブリオッシュはリッチ、と覚えておくとわかりやすいです。
ハード系とソフト系パンの分類
こちらも、パンの分類方法の一つ。
ハード系:外皮がパリッとしていて、クラスト(外側)が硬いパン
ソフト系:クラムが柔らかくて、噛みやすいパン
主にリーンパンはハード系、リッチパンはソフト系に分類されます。
グルテン・灰分・酵素の専門用語
小麦粉の性質を表す言葉も、いくつか知っておくと便利です。
グルテン:小麦のタンパク質が水と結合してできる網目構造。パンの弾力の元
灰分(かいぶん):小麦粉に含まれるミネラルの量。灰分が多いほど風味が強い
酵素(プロテアーゼ、リパーゼなど):生地中のタンパク質や脂質を分解する成分
特にグルテンは、パン作りの成功を左右する最重要要素。グルテンがしっかり形成されないと、膨らまなかったり、パサパサになったりします。
【焼成・品質】パン作りレシピ本の仕上げ用語

焼成・スチーム・予熱の基本
焼成は、パンをオーブンで焼く工程のこと。
パン作りの最後の、そして最も重要な工程です。温度、時間、スチームの有無…すべてが焼き上がりに影響します。
スチームは、焼成開始時に蒸気を加えること。外皮を一時的に柔らかくして、窯伸びを助ける効果があります。
予熱は、オーブンを事前に温めておくこと。予熱不足だと、パンが膨らまなかったり焼きムラができたりします。
クラストとクラムとは
先ほども少し触れましたが、改めて説明しますね。
クラスト:パンの外皮。硬くてパリッとした部分
クラム:パンの内部。柔らかくてふわふわした部分
パンの品質を評価するとき、「クラストはパリッとしているか」「クラムの気泡はどうか」といった具合に、この2つの言葉が使われます。
すだち・ホワイトラインの見方
すだちは、クラムに見られる気泡の跡のこと。

気泡の大きさや分布で、発酵や成形が適切だったかどうか判断できます。気泡が均一で細かいと、ふんわりした食感になります。
ホワイトラインは、食パンを焼いた時に角に出る白いラインです。これは、型の中で適正に膨らんだ証拠。上手く焼けたかどうかの判断基準にしてみてくださいね♪

老化・縮み(ケービング)の原因と対策
焼いた後の変化も、知っておくと役立ちます。
老化:時間が経つとパンが硬くなる現象
縮み(ケービング):冷却後にパンがサイズダウンする現象
老化は、でんぷんの再結晶化が原因。水分が抜けたり、酵素の働きで起こります。
縮みは、生地構造が弱かったり、焼成不足だったりすると起こりやすいです。しっかり焼くことと、適切な発酵管理が予防策になります。
まとめ|パン作りレシピ本の専門用語を理解して上達しよう

ここまで、パン作りのレシピ本でよく見かける専門用語を紹介してきました。
全部を一度に覚える必要はありません。レシピ本を読んでいて「これ何だっけ?」と思ったときに、この記事を見返してもらえれば嬉しいです。
専門用語を理解すると、パン作りがもっと楽しくなります。「なぜこの工程が必要なのか」「どうすれば美味しくなるのか」が見えてくるからです。
レシピ本に書いてある通りに作るだけでなく、自分で考えてアレンジできるようになる。それが、専門用語を知る最大のメリットだと思います。
これからも一緒に、パン作りを楽しんでいきましょう。
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最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう^^
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