ホームベーカリーで食パンがしぼむ原因と対策|過発酵を防ぐ3つのポイントと温度管理の基本

先日、パン作りが趣味の知人から、こんな相談がありました。

「ホームベーカリーで焼いた食パン。蓋を開けたらしぼんでた。なんでだろう?」

ホームベーカリーで作った食パンが萎んだ

写真を見せてもらうと、見るからに過発酵ですね。焼く前はいい感じに膨らんでいたのに、焼き上がったら天面が凹んでいる。これ、実はホームベーカリーあるあるなんです。

でも大丈夫。原因さえわかれば、ちゃんと対策できます。

この記事では、ホームベーカリーで食パンがしぼんでしまう3つの原因と、それぞれの具体的な対策をお伝えします。これを読めば、明日からのパン作りが変わりますよ。


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Evoto

自己紹介

高校卒業してから23年勤めた、航空自衛隊を退職。2024年に自宅教室「こだわり酵母パン教室フリーゼ」をオープン。

“自分時間を大切に”“職場でも家でもない場所に居場所を作る”そんな教室作りをしています。ホームベーカリーで叶える“無理しない”パン生活で、ふんわり美味しいパンをいつでもそばに。『簡単に、でも本格的に!』をモットーに、生活にワクワクをお届けします!

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ホームベーカリーで食パンがしぼむ症状とは?

しぼんだ食パンの見た目の特徴

ホームベーカリーで焼いた食パンがしぼむと、こんな見た目になります。

  • 天面(上の部分)が凹んでいる
  • サイドが内側に落ち込んでいる
  • 焼く前は良い感じに膨らんでいたのに…

「あれ?膨らみはいい感じだったのに、焼いたらこうなっちゃった」というパターン、多いんですよね。

しぼむ原因は「過発酵」

この「しぼむ」という現象、実は過発酵が原因なんです。

過発酵って何かというと、生地が発酵しすぎて、膨らみすぎた状態のこと。風船に空気を入れすぎると割れちゃうのと似ています。生地の中のグルテン(パンの骨組み)が限界を超えて伸びきってしまうと、焼いたときに支えきれなくなって、しぼんでしまうんです。

でも、ホームベーカリーで作っている以上、見た目だけでは「膨らみすぎているか、適正な膨らみなのか」を判断するのは難しいですよね。だからこそ、これから説明する3つのポイントを押さえることが大切なんです。


ホームベーカリーで過発酵になる3つの主な原因

ここからが本題です。なぜホームベーカリーで作ると過発酵になりやすいのか。主な原因は次の3つです。

もちろんこれは、適正な材料を使用し、正確に計量していることが前提です。

  1. こね上げ温度が高い
  2. 発酵時間が長い
  3. イーストの量が多い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

原因①:こね上げ温度が高い

こね上げ温度って聞いたことありますか?これは、生地をこね終わったときの生地の温度のことです。

実は、パン作りではこの温度がとっても大事。イーストが元気に発酵するためには、適正な温度が必要なんです。こね上げ温度が高すぎると、発酵がどんどん進んでしまって、過発酵になりやすくなります。

理想的なこね上げ温度は25〜27度。この範囲に収めると、ゆっくり熟成が進んで、失敗しにくいんです。

ホームベーカリーは熱を持ちやすい

ここで問題なのが、ホームベーカリーやニーダーなど、下に羽がついている機械ごねの道具は、こねる際にモーターの熱を生地が拾ってしまうということ。

特に夏場は要注意。機械の摩擦熱が加わって、あっという間に生地の温度が上がってしまいます。これに比べて、スタンドミキサーはモーターが上にあるので、その心配が少ないんですね。

知人の話では、「寒くなってきたから感覚で仕込み水はぬるま湯にしてみた」とのこと。この「感覚で」というのが落とし穴。気温が下がったからといって、熱めのお湯を使ってしまうと、機械の摩擦熱と合わさってこね上げ温度が高くなりすぎてしまうんです。

生地の温度を測っている様子

原因②:発酵時間が長い

ホームベーカリーは、時間で作動します。発酵の見極めはしてくれません

つまり、発酵が不十分でも、発酵しすぎていても、時間が来たら次の工程に進んでしまうんです。

でも、パンは生き物なんです。その日の気温、室温、湿度、こね上げ温度によって、発酵の進み方が変わってきます。「今日はいつもより発酵が早いな」「今日は遅いな」っていうのは、パン作りをしていると結構あることなんですよね。

そんなとき、機械任せにしていたら、失敗する可能性は高くなります。一番確実なのは、人間の目でしっかり生地の様子を見てあげることなんです。

原因③:イーストの量が多い

イーストは、パンの膨らみに大きく影響します。だから、加える量はとても大切。

イーストの量は、小麦粉に対して2.0%以下が基本です。例えば、小麦粉200gのレシピなら、イーストは4g以下。このくらいなら、そこまで心配はいりません。

ただし、レシピによっては膨らみを良くするために多めに入れる場合もあります。特に夏場は、イーストが元気になりすぎるので、少し控えめにした方がいいですね。

計量は、0.1g単位で測れる計量器を使ってきっちり測ってください。イーストは少しの差で大きく変わってしまうので、正確さが命です。

デジタルスケール

【対策①】こね上げ温度を適正に保つ方法

それでは、具体的な対策に入っていきましょう。まずは「こね上げ温度」の調整方法です。

仕込み水の温度で調整する

こね上げ温度は、仕込み水(または牛乳)の温度で調整できます

  • 夏場:水を冷蔵庫で冷やしたり、氷を入れて冷やした冷水を使う
  • 冬場:30〜40度に温めたぬるま湯を使う

季節や室温に合わせて、仕込み水の温度を変えてあげるだけで、こね上げ温度をコントロールできるんです。

こね上げ温度の計算式を使う

「もっと正確に調整したい!」という方には、計算式があります。

仕込み水温度 = (目標こね上げ温度 × 3) − (室温 + 粉温 + 摩擦熱)

ちょっと難しそうに見えますが、一度やってみると簡単ですよ。

各要素の説明

項目内容
目標こね上げ温度生地をこね終わったときの温度(狙いたい温度)通常:26〜28℃前後
室温作業している部屋の温度25℃など
粉温使用する粉(小麦粉など)の温度室温と同じか少し低い
摩擦熱こねることで生地に加わる熱手ごね:2〜3℃
ニーダー:4〜6℃
業務用:8〜10℃

実際に計算してみましょう

例えば、こんな条件で計算してみます。

  • 目標こね上げ温度:27℃
  • 室温:25℃
  • 粉温:25℃
  • 摩擦熱:5℃(ニーダー使用の場合)

計算式に当てはめると…

仕込み水温度 = (27 × 3) − (25 + 25 + 5)
= 81 − 55
= 26℃

👉 この場合、26℃の水を使うとこね上がり温度27℃を狙えます。

温度計の活用がおすすめ

こね上げ温度を測るために、温度計の購入をお勧めします

温度計があれば、こね上げ温度を測るだけでなく、焼き上がったパンの中心温度を測って、生焼けでないことを確認するときにも役立ちます。一本持っておくと、パン作りがグッと楽になりますよ。

生地の温度を測っている
温度計

【対策②】発酵の見極め方をマスターする

次は「発酵時間」の対策です。

ホームベーカリーでの発酵チェックポイント

先ほども書きましたが、ホームベーカリーは時間で動くので、発酵の見極めはしてくれません。だからこそ、時々でいいので、生地の様子をチェックしてあげることが大切です。

パンは生き物。機械の中で生き物がむくむく大きくなっていると思ったら、なんだか放置できませんよね(笑)。

一次発酵の見極め方

一次発酵は、生地が約2倍に膨らんでいるかをチェックします。

フィンガーチェックという確認方法もあります。指を生地に差し込んで、その指で開けた穴がどうなるかで判断します。

  • 穴がじわっと戻るか残っていれば発酵適正
  • すぐにキューっと縮んで塞がってしまうようなら発酵不足。発酵時間を追加します。
  • 穴が戻ってこない。生地全体が萎んでしまう、生地の表面にガスの気泡がボコボコできる。この場合は過発酵
ホームベーカリーの生地のフィンガーチェック
Screenshot
ホームベーカリーの生地のフィンガーチェック

二次発酵の見極め方

二次発酵は、一回り大きくなっているかをチェック。

天板を揺すると、プルンプルンと揺れるくらいが目安です。一次発酵と同じく、指押しテストも有効ですよ。

ホームベーカリーに入っていると見えづらいので、こんな方法で確認してください。

指で押して確認する方法

  1. 生地に指を軽く押し込む
  2. ゆっくり生地が戻ってきて、指の跡が少し残るくらいが適正
  3. 押した生地がピュンっとすぐに戻ってくるときは発酵不足
  4. 押した跡が戻ってこない場合は過発酵

時々でOK!生地の様子をチェックする習慣

完璧にチェックしなくても大丈夫。こね終わり、発酵終わりなど、タイミングを決めて様子を見る習慣をつけるだけで、失敗がグッと減ります。


【対策③】イーストの量を正確に計量する

最後は「イーストの量」の対策です。

イーストの適正量

先ほども触れましたが、イーストは小麦粉に対して2.0%以下が基本です。

  • 小麦粉200gなら、イーストは4g以下
  • 小麦粉250gなら、イーストは5g以下

この範囲なら、そこまで神経質にならなくても大丈夫。

正確な計量のコツ

イーストの計量で気をつけたいのは、0.1g単位で測れる計量器を使うこと

1g、2gの違いが、パンの膨らみに大きく影響します。キッチンスケールは、ぜひ精度の高いものを選んでください。

また、古いイーストは発酵力が落ちているので、開封後は早めに使い切りましょう。

季節によるイースト量の調整

  • 夏場:イーストが元気になりすぎるので、少し控えめに
  • 冬場:レシピ通りでOK
  • レシピによっては、膨らみを良くするために多めに入れる場合もある

基本はレシピ通りが一番。ただし、何度も作っていくうちに、「うちの環境だとこのくらいがちょうどいい」というのが見えてきますよ。

冷蔵保存しているイースト

ホームベーカリーを使いこなすための心構え

ホームベーカリーのメリットとデメリット

ホームベーカリーは、簡単に焼きたてパンが楽しめるというメリットがあります。初心者や、パン作りの知識が全くなくても、焼きたてパンが楽しめる素晴らしい道具です。

でも、道具は使う人次第。うまく機能する場合もあれば、うまく機能しない場合もあります。

道具は使う人次第

パンは生き物。言うなれば、機械の中で生き物が成長しているイメージなんです。

機械の中で生き物がむくむく大きくなっていると思ったら、完全放置はできませんよね。時々でいいので、生地の様子をチェックしてあげてください。

初心者でも失敗しないための3つのポイント(まとめ)

改めて、ホームベーカリーで食パンをしぼませないための3つのポイントをまとめます。

  1. こね上げ温度を25〜27度に調整する(仕込み水の温度で調整)
  2. 発酵状態を目視・指押しでチェックする(時々でOK)
  3. イーストを正確に計量する(0.1g単位で測る)

この3つを押さえるだけで、失敗はグッと減りますよ。


まとめ:ホームベーカリーで食パンをしぼませないコツ

ホームベーカリーで食パンがしぼむ原因は、過発酵。そして、過発酵になる主な原因は次の3つです。

  1. こね上げ温度が高い → 仕込み水の温度で調整する
  2. 発酵時間が長い → 時々生地の様子をチェックする
  3. イーストの量が多い → 0.1g単位で正確に計量する

パン作りは、観察が大切。機械任せにせず、時々生地の様子を見てあげる。それだけで、あなたのパン作りは確実にレベルアップします。

最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か作っていくうちに、「あ、今日は発酵が早いな」「この膨らみ具合がちょうどいい」という感覚がつかめてきますよ。

ぜひ、この3つのポイントを意識して、美味しい焼きたてパンを楽しんでくださいね。


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