ライ麦にグルテンはない?セカリンとグルテンの違いを徹底解説

「ライ麦パンはグルテンフリーだから体に優しい」「ライ麦なら小麦アレルギーでも大丈夫」そんな情報を目にしたことはありませんか?

実は、これは大きな誤解です。

確かにライ麦には「小麦グルテン」そのものは含まれていません。でも、だからといって「グルテンフリー」というわけではないんです。ライ麦には「セカリン」というグルテンと同じような働きをするタンパク質が含まれているため、セリアック病や小麦アレルギーの方には注意が必要なんですよ。

この記事では、ライ麦とグルテンの関係について、正しい知識をわかりやすくお伝えします。健康のために選んだ食品が、実は体に合わないものだった…なんてことがないように、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。


私がこの記事を書ける理由

私はパン教室を主催している講師です。

レッスンでは、ライ麦を使ったカンパーニュなどのパンを作ったり、ライ麦についての知識を生徒様にお伝えしています。

カンパーニュ

最近、インターネット上で「ライ麦はグルテンフリー」という誤った情報を見かけることが増えました。この誤解によって、健康被害を受ける方がいるかもしれない…そう思うと、正しい情報を発信しなければと強く感じています。

実際にライ麦粉を扱い、その特性を理解している立場だからこそ、皆さんに安心して食を楽しんでいただけるよう、この記事を書きました。


ライ麦ってどんな穀物?まずは基本を知ろう

ライ麦の基本情報

ライ麦(Rye)は、イネ科の穀物で、小麦や大麦の仲間です。見た目も似ていますが、実はとても個性的な穀物なんですよ。

ライ麦の特徴:

  • 寒い地域や栄養の少ない土地でもしっかり育つ、とても強い穀物
  • 小麦よりも寒さに強く、ヨーロッパ北部やロシアで広く作られている
  • 独特の風味と少し酸っぱい味があって、食物繊維がたっぷり
ライ麦畑

ライ麦粉の特性と保存の注意点

ここで知っておいてほしいのが、ライ麦粉は約80%が油分でできているということ。この油分が多いことが、実は保存の際に大きなポイントになります。

油は時間が経つと酸化して、風味が落ちてしまいます。特に夏の暑い時期は要注意。ライ麦粉は必ず冷蔵庫で保存しましょう。

また、ライ麦粉は小麦粉に比べてでんぷんの量が多いため、パン生地を作るとベタベタと粘り気が強くなります。手にくっついて扱いにくいので、パン作りをする方は覚えておくと良いですね。


「ライ麦にグルテンはない」は本当?

ライ麦には小麦グルテンは含まれない

さて、ここからが本題です。

「ライ麦にグルテンはあるの?ないの?」この質問に正確に答えるなら、

「小麦のグルテンは含まれていないけれど、グルテンフリーではない」

となります。ちょっとややこしいですよね。詳しく説明していきますね。

小麦のグルテンは、「グリアジン」と「グルテニン」という2つのタンパク質が結びついてできています。ライ麦には確かに、この「グリアジン+グルテニン」という組み合わせは存在しません。

でも…

セカリンとは?グルテンと同じ働きをするタンパク質

ライ麦には「セカリン(secalin)」というタンパク質が含まれています。

このセカリン、実はグルテンととても似た性質を持っているんです。体の中での働き方も、構造も、グルテンに近い「グルテンの仲間」なんですよ。


穀物ごとのグルテン様タンパク質を比較してみよう

実は、麦の種類によって、含まれるタンパク質の名前が違うんです。でも、どれもグルテンと似た働きをする仲間たちです。

各穀物のグルテン様タンパク質

穀物タンパク質の名前
小麦グリアジン+グルテニン=グルテン
大麦ホルデイン
ライ麦セカリン

すべて「グルテンの仲間」である理由

これらのタンパク質は、化学的な構造がとても似ています。だから、体の中で同じような反応を起こす可能性が高いと言われています。

特にセリアック病や小麦アレルギーの方は、この「似た構造」に体が反応してしまうことがあります。「小麦じゃないから大丈夫」と思っていても、実は体にとっては「似たようなもの」として認識されてしまうんですね。


ライ麦パンがグルテンフリーにならない2つの理由

「じゃあ、ライ麦100%のパンならグルテンフリー?」

残念ながら、そうではありません。理由は2つあります。

理由①:ライ麦パンは通常、小麦粉と混ぜて作られる

実は、市販されているライ麦パンのほとんどは、強力粉(小麦粉)とライ麦粉を混ぜて作られています。

なぜかというと、ライ麦だけではパンが膨らみにくいから。小麦のグルテンの力を借りて、ふっくらとしたパンに仕上げているんです。

また、伝統的なライ麦パンは「サワー種」という中種法で作られることが多く、この製法でも小麦粉が使われることがほとんどです。

カンパーニュ大とスライス

理由②:セカリン自体がグルテン様のタンパク質だから

たとえライ麦100%のパンだったとしても、セカリンが含まれている時点でグルテンフリーとは言えません。

セリアック病やグルテン不耐症の方にとって、「小麦グルテンかどうか」ではなく、「グルテン様のタンパク質かどうか」が重要なんです。セカリンはまさにその「グルテン様」なので、避ける必要があります。


セリアック病・小麦アレルギーとライ麦の関係

なぜライ麦も避けるべきなのか

セリアック病は、グルテンに対して体が過剰に反応してしまう自己免疫疾患です。そして残念ながら、セカリンにも同じように反応してしまう方が多いんです。

海外のセリアック病ガイドラインでも、ライ麦は小麦・大麦と並んで「避けるべき食材」に分類されています。

理由は3つ:

  1. タンパク質の構造が小麦とそっくり
  2. 体が同じように反応する人が多い
  3. 製造工程で小麦との混入がほぼ避けられない

グルテンフリー生活でのライ麦の扱い

グルテンフリーの食生活を送っている方は、ライ麦は「NG食材」として扱ってください。

代わりに使える穀物はたくさんありますよ:

  • 米粉
  • そば粉(十割そばに限る)
  • キヌア
  • キビ
  • ヒエ
  • アワ
  • タピオカ粉

これらは本当にグルテンフリーなので、安心して使えます。


「ライ麦はグルテンゼロ」という誤解が招く危険性

誤った情報による健康リスク

「ライ麦はグルテンフリー」という誤解は、実はとても危険です。

この誤解によって起こりうること:

  • セリアック病の症状が悪化する
  • アレルギー反応が出てしまう
  • 体調不良の原因がわからず悩み続ける
  • 適切な治療が遅れる

特に、健康のために選んだライ麦パンで体調を崩してしまったら、悲しいですよね。

正しい情報を得ることの大切さ

インターネットには様々な情報があふれています。でも、すべてが正しいわけではありません。

食品表示をきちんと読むこと、そして分からないことがあれば専門医や管理栄養士に相談することが大切です。特にアレルギーや食事制限がある方は、自己判断せず、必ず専門家のアドバイスを受けてくださいね。


まとめ:ライ麦とグルテンの正しい理解で安全な食生活を

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に大切なポイントをまとめますね。

覚えておいてほしい5つのこと:

ライ麦には「小麦グルテン」は含まれない
でも「セカリン」というグルテン様タンパク質は含む
セリアック病・グルテンフリー生活ではライ麦はNG
ライ麦パンがグルテンフリーになることはない
正確な知識で健康的な食生活を守ろう

「ライ麦=グルテンフリー」という誤解が広まらないよう、もしこの記事が役に立ったと思ったら、ぜひ周りの方にもシェアしてあげてください。

正しい知識があれば、自分に合った食品を安心して選べます。あなたの健康的な食生活を、心から応援しています!


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