パン作りに最適な水とは?軟水と硬水の違いでパンが劇的に変わる理由

ミネラルウォータ

「パン作りに使う水なんて、どれでも同じでしょ?」

もしかして、そう思っていませんか?

実は、パン作りで使う水の種類によって、ふわふわのパンにもハード系のパンにも向き不向きがあるんです。驚きですよね。

日本の食パンはふわふわで柔らかい。一方、フランスのバゲットは硬くて噛みごたえがある。この違い、実は「水質の差」が大きく関係しているんです。

この記事では、パン作りにおける水の選び方を科学的に、でも分かりやすく解説します。水を変えるだけで、あなたのパンが驚くほど美味しくなるかもしれませんよ。


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Evoto

自己紹介

高校卒業してから23年勤めた、航空自衛隊を退職。2024年に自宅教室「こだわり酵母パン教室フリーゼ」をオープン。

“自分時間を大切に”“職場でも家でもない場所に居場所を作る”そんな教室作りをしています。ホームベーカリーで叶える“無理しない”パン生活で、ふんわり美味しいパンをいつでもそばに。『簡単に、でも本格的に!』をモットーに、生活にワクワクをお届けします!

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パン作りで「水」が重要な理由

パン作りの材料といえば、小麦粉、水、酵母、塩。どれも欠かせない存在ですが、意外と見落とされがちなのが「水」です。

材料にこだわる方は多いかと思いますが、「水」をこだわったことありますか?

実は、水はパン作りにおいて超重要な役割を果たしているんです。

パン生地における水の3つの役割

  1. グルテン形成を促進する
    小麦粉に水を加えてこねると、グルテンというたんぱく質が生まれます。このグルテンが、パンのふわふわ感や弾力を生み出すんです。
  2. 酵母の発酵を活性化させる
    酵母は水がないと活動できません。水があることで、酵母が糖を分解してガスを発生させ、パンが膨らみます。
  3. 生地の柔らかさ・硬さを左右する
    水の量だけでなく、水の「質」も生地の硬さや食感に影響します。ここが今日のポイントです。

水を変えるだけでパンの仕上がりが変わる

「え、そんなに変わるの?」と思うかもしれませんが、プロのパン職人さんも水選びにこだわっているんです。

同じレシピで作っても、使う水が違えば食感が変わる。これを知っているだけで、パン作りがもっと楽しくなりますよ。

グルテン

軟水と硬水の違いとは?基礎知識を解説

では、ここからが本題です。

水には「軟水」と「硬水」という種類があるって知っていましたか?

軟水と硬水を分ける「硬度」とは

水の硬さを決めるのは、「カルシウム」と「マグネシウム」の含有量です。

水1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量(mg/L)を「硬度」と呼び、この数値で軟水か硬水かが決まります。

WHO(世界保健機関)の分類では、こんな風に分けられています。

分類硬度(mg/L)主な地域例
軟水0〜60日本、カナダ北部、ノルウェー
中程度の硬水60〜120アメリカ東海岸
硬水120〜180フランス、ドイツ
非常な硬水180以上イタリア南部、地中海沿岸

日本の水は軟水、ヨーロッパは硬水が主流

日本の水道水は、ほとんどが硬度30〜50mg/L程度の軟水です。

一方、ヨーロッパの水は硬度150〜300mg/Lの硬水が一般的。地域によっては、硬度が1000を超えるところもあるんです。

この水質の違いが、日本とヨーロッパのパンの違いを生み出していると言っても過言ではありません。


パン作りにおける軟水と硬水の影響【科学的解説】

ここからは、少しだけ科学的なお話をします。といっても、難しくないので安心してくださいね。

軟水がふわふわパンに向いている理由

日本のパンがふわふわで柔らかいのは、軟水のおかげなんです。

グルテンが柔らかく形成される仕組み

軟水には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが少ないんです。

グルテンは、グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が水を吸って絡み合ったもの。カルシウムやマグネシウムは、このたんぱく質同士を「イオン結合」で少し固くつなぐ働きをします。

軟水ではミネラルが少ないため、グルテンの結びつきがやわらかく、伸びやすい生地になるんです。

その結果、ふんわり・しっとりした食感に仕上がります。

ゴム風船でたとえるなら…

  • 硬水のグルテン: 厚めのゴム風船。しっかりしていて破れにくいけど、あまり伸びない。
  • 軟水のグルテン: 薄くて柔らかい風船。ぐ〜んと伸びるけど、やや壊れやすい。

軟水が向いているパンの種類

  • 食パン
  • 菓子パン(あんぱん、クリームパン、メロンパンなど)
  • ロールパン
  • 日本で発展したパン全般

つまり、私たちが普段食べている「柔らかいパン」は、軟水だからこそ作れるんですね。

冷やしクリームパン

硬水がハード系パンに向いている理由

一方、ヨーロッパのパンは硬くて噛みごたえがありますよね。それは硬水のおかげなんです。

ミネラルが酵母の発酵を安定させる

硬水には、カルシウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラルが多く含まれています。

これらのミネラルは酵母の栄養源として働き、酵母の活動を助けます。

具体的には:

  • 酵母の増殖が安定する
  • 発酵速度が一定になりやすい
  • 酵母のストレス耐性(温度・浸透圧)も上がる

だから、硬水では安定した発酵力を維持しやすいんです。

グルテンを引き締めて噛みごたえを生む

さらに、硬水に含まれるミネラルはグルテンを引き締める作用があります。

そのため、生地がしっかり締まり、気泡が細かく、噛みごたえのある食感になるんです。

硬水が向いているパンの種類:

  • バゲット
  • カンパーニュ
  • ドイツパン
  • ハード系パン全般

ヨーロッパで「食事パン」として発展したハード系パンは、硬水だからこそ生まれたんですね。

バゲット

硬水でもふわふわパンは作れる?よくある疑問を解消

ここで疑問に思った方もいるかもしれません。

「硬水は発酵が安定するなら、ふわふわパンも作れるんじゃない?」

私も初めはそう思いました。でも、答えは「ノー」なんです。

硬水で発酵が安定するのに、ふわふわにならない理由

発酵のコントロールと、生地の膨らみやすさは別物なんです。

硬水では、グルテンがしっかり締まるため、ガスの保持力は高いのですが、生地の”伸び”が弱くなってしまいます

そのため、気泡が大きく広がらず、ふんわりよりも“しっかり・どっしり”とした食感になってしまうんです。

つまり:

  • 発酵のコントロールにはプラスに働く
  • でも、ふんわり柔らかいパンを作るにはマイナスに作用する

という「一長一短」の関係なんですね。

最適な硬度は「やや硬水」(50〜80mg/L)

実は、完全な軟水よりも、やや硬度のある水(硬度50〜80mg/L)が最も扱いやすいと言われています。

日本の水道水は、まさにこの範囲にある地域が多いんです。だから、「やわらかいけれどグルテンがまとまりやすい」理想的なバランスなんですよ。

パン職人の中には、「あまりに軟水すぎると生地がベタつく」と感じる人もいるそうです。その場合は、少量の塩や硬度のあるミネラルウォーターで調整することもあります。

コップに注がれた水

日本と欧州でパンの種類が違う理由は「水」にあった

ここまで読んで、ピンときた方もいるのではないでしょうか。

日本と欧州でパンの種類が違うのは、水質の違いが大きく関係しているんです。

日本で食パンが発展した背景

日本の水は軟水です。だから、ふわふわ食感のパンが作りやすい環境にあったんですね。

明治時代にパンが日本に入ってきてから、日本人の嗜好に合わせて進化していきました。あんぱん、メロンパン、クリームパンなど、日本独自の「菓子パン文化」が花開いたのも、軟水のおかげと言えます。

ヨーロッパでハード系パンが主流の理由

一方、ヨーロッパの水は硬水です。硬水で作るパンは、噛みごたえがあり、保存性も高いんです。

冷蔵庫がなかった時代、保存が効くパンは貴重でした。だから、「食事パン」として硬いパンが発展していったんですね。

フランスのバゲット、ドイツのライ麦パン、イタリアのチャバタ。どれも、その土地の水質に合わせて進化してきたパンなんです。

それぞれの国で進化を遂げたパン文化

水質がパンの個性を生み出す

これって、とても興味深いことだと思いませんか?

地域の水=その土地のパン文化。パン作りは、その土地の自然と深く結びついているんですね。

パン各種

パン作り初心者が知っておきたい水選びのポイント

「じゃあ、私もミネラルウォーターを買わなきゃダメ?」

いえいえ、そんなことはありません。

水道水でも十分美味しいパンは作れる

日本の水道水は軟水で、パン作りにとても適しています

わざわざミネラルウォーターを買う必要はありません。水道水で十分、美味しいパンが作れますよ。

ただし、カルキ臭が気になる場合は:

  • 一度沸騰させて冷ます
  • 浄水器を通す
  • 一晩汲み置きする

こうした方法で、カルキ臭を軽減できます。

季節や気温で水温も調整する

最後に、もう一つ大切なポイント。

水の「質」だけでなく、「温度」も大事です。

  • 夏は冷水:気温が高いので、冷たい水で生地温度を下げる
  • 冬はぬるま湯:気温が低いので、少し温かい水で発酵を促す

理想の生地温度は25〜27℃。この温度を保つことで、発酵がスムーズに進みます。

温度

まとめ:パン作りは「水」を変えると劇的に進化する

さて、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

パン作りにおける水の重要性、伝わったでしょうか?

水の硬度でパンの食感が決まる

  • 軟水=ふわふわ系のパン
  • 硬水=ハード系のパン

水を意識するだけで、パンの仕上がりが劇的に変わります。これを知っているだけで、あなたはもう初心者ではありません。

まずは自宅の水道水で試してみよう

日本の水道水は、パン作りに理想的な軟水です。

特別な水を買う必要はありません。まずは、今日から水道水でパン作りを楽しんでみてください。

慣れてきたら、ミネラルウォーターで実験してみるのも面白いですよ。

パン作りの奥深さを楽しもう

水ひとつでこんなに違う。

パン作りって、本当に奥が深いですよね。

次は、粉の種類や発酵時間にもこだわってみてください。きっと、もっとパン作りが楽しくなりますよ。

狭山茶塩パン

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