寒い時期になると、デニッシュ生地がとっても作りやすくなるんです。バターが溶けにくいから、層がきれいに仕上がりやすいんですよね。
私の家族にも大人気のフルーツデニッシュ。パン作りをしている人なら、一度は「こんなの作れたらいいな〜」って憧れますよね。
私の教室でも、冬になるとフルーツデニッシュのレッスンを開催しています。そんな中、生徒様からこんな質問をいただきました。
「先生、上に乗せるフルーツって、焼く前に乗せちゃっていいんですか?」
実は私も、フルーツデニッシュを試作している時に全く同じ疑問を抱いたことがあるんです。何度も失敗を繰り返しながら、ようやく答えが見えてきました。
今日は、その経験をもとに「デニッシュのフルーツをいつ乗せるべきか」について、詳しくお話ししていきますね。

私がこの記事を書ける理由
まず最初に、なぜ私がこのテーマについて書けるのかをお話しさせてください。
私はパン教室を運営していて、特に冬の時期にはフルーツデニッシュのレッスンを毎年開催しています。生徒様からのリアルな質問に答え続けてきたからこそ、「みんなが本当に知りたいこと」がわかるんです。
そして何より、私自身が試作で何度も失敗してきました。いちごを焼く前に乗せて水っぽくなってしまったり、バナナが真っ黒になってしまったり…。でもそういった失敗があったからこそ、フルーツごとの特性を実際に焼いて検証することができたんです。
今日お伝えする内容は、すべて私の実体験に基づいています。だから、きっとあなたのお役に立てるはずです。
【結論】デニッシュのフルーツを乗せるタイミング
さて、結論から先にお伝えしますね。
缶詰のフルーツは焼成前に乗せてOK
缶詰のフルーツは、すでに加熱処理されているので、焼く前に乗せても問題ありません。水分量も調整されていて、形が崩れにくいんです。
桃やパイナップル、みかんなどの缶詰フルーツは、焼成前にトッピングしてしまって大丈夫ですよ。
生フルーツ(フレッシュフルーツ)は焼成後が無難
一方で、生のフルーツは焼成後に乗せるのが一番安心です。
生フルーツは水分が多いので、焼成中に加熱されると水分が飛び出してしまいます。その結果、せっかくサクサクに焼けたデニッシュ生地がベチャついてしまうんです。
さらに、フルーツ本来の鮮やかな色や香りも熱で損なわれてしまいます。
一番わかりやすい覚え方は「缶詰は先、生は後」です。
なぜ生フルーツを焼成前に乗せるのはNG?
ここからは、もう少し詳しく「なぜ生フルーツを焼く前に乗せない方がいいのか」について説明していきますね。
水分が飛び出して生地がベチャつく
生のフルーツには、たっぷりの水分が含まれています。これが焼成中の熱で温められると、フルーツの内部から水分がジュワ〜っと流れ出てしまうんです。
その水分がデニッシュ生地に染み込んで、サクサクだったはずの生地が水っぽくなってしまいます。デニッシュの最大の魅力である「パリパリ、サクサク」の食感が台無しになってしまうんですよね。
フルーツ本来のみずみずしさも無くなってしまう可能性があるので、焼いた後に乗せるのがお勧め。
フルーツ本来の色や香りが損なわれる
生フルーツは熱に弱いものが多く、焼成すると変色してしまいます。
特にいちごは、あの鮮やかな赤色が茶色っぽくくすんでしまいます。バナナも真っ黒になってしまって、見た目が悪くなってしまうんです。
さらに、フルーツ特有のフレッシュな香り成分も熱で飛んでしまいます。いちごの甘酸っぱい香りや、キウイのさわやかな香りなど、せっかくの魅力が半減してしまうんですね。
見た目も香りも損なわれてしまうなら、焼いた後に乗せた方が断然いいですよね。
焼く前に乗せてもOK!熱に強いフルーツ一覧
でも実は、すべての生フルーツが焼成前NGというわけではないんです。中には、熱に強くて焼く前に乗せても大丈夫なフルーツもあるんですよ。
りんご(特に加熱用品種)
りんごは焼き菓子でもよく使われるフルーツですよね。アップルパイなんかが代表的です。
りんごは組織がしっかりしていて、熱を加えても崩れにくいんです。
薄くスライスしたりんごをデニッシュ生地に並べて焼くと、とっても美味しいですよ。
ブルーベリー
ベリー類の中でも、ブルーベリーは比較的熱に強いんです。
皮が厚くてしっかりしているので、焼成中も形が崩れにくく、水分も出すぎません。ブラックベリーも同じように安定していますね。
冷凍ブルーベリーなら年中手に入るので、便利に使えます。ただし、冷凍のまま乗せると解凍時に水分が出るので、一度解凍してから水気を切って使うのがポイントです。
焼く前に乗せるとNG!熱に弱いフルーツ一覧
次に、焼成前に乗せると失敗しやすいフルーツをご紹介します。これらは水分が多く、柔らかい果実なので要注意ですよ。
いちご・ラズベリー・マンゴー
いちごは特に熱に弱いフルーツの代表格です。
水分がとても多く、焼成するとすぐに崩れてしまいます。あの鮮やかな赤色も茶色くくすんでしまいますし、いちご特有の甘酸っぱい香りも飛んでしまうんです。
ラズベリーも同様で、柔らかすぎて焼成には向きません。マンゴーも水分が多く、熱でドロドロになってしまいます。
これらのフルーツは、必ず焼成後に乗せるようにしましょう。
キウイ・メロン
キウイとメロンも多汁で、水分が出やすいフルーツです。
特にキウイは酵素の働きで、加熱するとさらに柔らかくなってしまいます。色も変わりやすく、見た目が悪くなってしまうんです。
メロンも同じで、熱を加えると組織が崩れて、あの独特の食感が完全に失われてしまいます。
バナナ
バナナは熱で色が変わりやすいフルーツです。
焼成すると茶色、というよりほぼ真っ黒になってしまって、見た目がかなり悪くなります。食感も損なわれてしまうので、バナナも焼成後に乗せるのがベストです。
ただし、バナナブレッドのように「バナナを生地に混ぜ込む」場合は別です。あれは色が変わることを前提としたレシピなので、問題ありませんよ。

【豆知識】カスタードクリームは焼成前に乗せてOK
ここで一つ、豆知識をお伝えしますね。
フルーツと一緒によく使われるカスタードクリームですが、実はカスタードクリームは焼成前に乗せても問題ないんです。
なぜカスタードは先乗せできる?
カスタードクリームは、鍋でしっかり加熱して作りますよね。この工程で、卵や澱粉がすでに「熱で安定した状態」になっているんです。
これは冷たい生クリームやフルーツのような「加熱で壊れやすい食材」とは違って、加熱を前提にした調理プロセスが既に済んでいるからなんですね。
だから、デニッシュ生地にカスタードクリームを絞ってから焼いても、クリームが分離したり崩れたりすることはありません。

カスタードクリームとフルーツの組み合わせ方
プロのようなフルーツデニッシュを作りたいなら、こんな順番がおすすめです:
- デニッシュ生地にカスタードクリームを絞る
- そのまま焼成する
- 焼き上がったら粗熱を取る
- 最後にフレッシュフルーツをトッピング
こうすることで、クリーミーなカスタードと、鮮やかで香り豊かなフルーツの両方を楽しめるデニッシュが完成します。
見た目も味も、お店で売っているようなクオリティになりますよ。

フルーツデニッシュを失敗しないための3つのポイント
ここまでの内容を踏まえて、フルーツデニッシュを失敗しないための大切なポイントを3つまとめますね。
①フルーツの特性を理解する
それぞれのフルーツには、それぞれの特性があります。
「このフルーツは火を通すとどうなるんだろう?」と、事前に調べてみることが大切です。水分量が多いのか、組織がしっかりしているのか、熱で色が変わりやすいのか。
こういった特性を理解していれば、「焼く前に乗せるか、焼いた後に乗せるか」の判断が自然とできるようになります。
②迷ったら後乗せを選ぶ
もし「このフルーツはどっちだろう?」と迷ったら、焼成後に乗せる方を選んでおけば、まず失敗することはありません。
焼成後なら、水分でベチャつくリスクもないし、フルーツの色や香りもそのまま楽しめます。見た目も鮮やかに仕上がりますよね。
「先に乗せた方がラクかな?」という理由だけで焼成前に乗せてしまうと、せっかく作ったデニッシュが台無しになってしまうかもしれません。
少し手間はかかりますが、美味しく仕上げるためには「後乗せ」が安心です。
③試作で確認してから本番に臨む
これは私がいつも生徒様にお伝えしていることなんですが、新しいフルーツを使う時は、まず少量で試してみることをおすすめします。
自分の目で確かめることが、何より大切なんです。
「このレシピ本には焼く前に乗せるって書いてあるけど、本当に大丈夫かな?」と思ったら、まず小さく1個だけ作ってみる。そうすれば、大量に作って全部失敗してしまった…なんてことにはなりません。
失敗を恐れずに、どんどん試してみてくださいね。失敗から学ぶことって、本当にたくさんありますから。
まとめ:デニッシュのフルーツは「缶詰は先、生は後」が基本
さて、ここまで長々とお話ししてきましたが、最後にもう一度ポイントをまとめますね。
デニッシュのフルーツを乗せるタイミングで一番わかりやすいのは、「缶詰フルーツは焼成前、生フルーツは焼成後」という覚え方です。
もちろん、りんごやブルーベリーなど、例外もあります。でもフルーツの特性をしっかり理解していれば、自分で判断できるようになります。
迷った時は後乗せを選べば、まず失敗することはありません。そして何より大切なのは、自分で試してみること。
私の教室で実践しているこの方法なら、初心者の方でも美しいフルーツデニッシュが作れますよ。
この冬、あなたもぜひフルーツデニッシュ作りに挑戦してみてくださいね。寒い時期だからこそ、デニッシュ生地がきれいに仕上がりやすいんです。
もし何か質問があれば、コメント欄で気軽に聞いてくださいね。一緒に美味しいパン作りを楽しみましょう!

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