パネトーネを逆さにする理由を徹底解説!潰れを防ぐ吊るし方のコツと失敗しない冷まし方

イタリアの伝統菓子パン「パネトーネ」を焼いたことはありますか?レシピを見ると、必ずと言っていいほど出てくる工程が「焼き上がったら逆さに吊るす」という指示。初めて見たときは「え、なんで?」って思いますよね。

実は私も最初は半信半疑で、「面倒だし、普通に冷ませばいいんじゃない?」なんて思っていました。でも、吊るさずに冷ましたパネトーネは見事に潰れて腰折れしてしまったんです。あのショックは今でも忘れられません…。

この記事では、パネトーネを逆さに吊るす理由を科学的に解説しながら、実際の吊るし方のコツまで詳しくお伝えします。失敗経験から学んだ実践的なテクニックも盛り込んでいますので、ぜひ最後まで読んでくださいね!

パネトーネを吊るす様子

パネトーネとは?ミラノ発祥の伝統菓子パンの特徴

イタリア・ミラノで愛されるクリスマスの定番パン

パネトーネは、イタリア・ミラノ発祥のクリスマスに食べられていた伝統菓子パンです。クリスマスシーズンになると、イタリアの家庭では必ずと言っていいほどテーブルに並ぶ特別なパンなんですよ。

でも近年では、朝食やおやつのパンとして一年中楽しまれているとか。美味しいものはいつでも食べたいですもんね!日本でも少しずつ知名度が上がってきて、専門店やパン屋さんで見かけることも増えてきました。

パネトーネの魅力は、何と言ってもそのリッチな配合。バター、卵、砂糖をたっぷり使い、レーズンやオレンジピール、レモンピールなどのドライフルーツがゴロゴロ入った贅沢なパンです。一口食べると、フルーツの甘酸っぱさとバターの風味が口いっぱいに広がります。

パネトーネ

パネトーネ種がもたらす独特の風味と食感

パネトーネの最大の特徴は、「パネトーネ種」という特別な発酵種を使っていること。これは、イタリア北部で生まれた伝統的な発酵種で、普通のパンに使うイーストとは全く違うものなんです。

パネトーネ種

初めて聞いたという人も多いかもしれませんね^^

パネトーネ種には乳酸菌が含まれていて、この乳酸菌の働きによって独特の風味が生まれます。ほんのり酸味のある香りと、口の中で溶けるような柔らかな食感。これがパネトーネならではの美味しさの秘密です。

さらに驚くのが、保水性と防腐性に優れているため、長期保存が可能だということ。適切に保存すれば、2週間から1ヶ月ほど美味しさを保てるんですよ。これも乳酸菌の力なんですね。

焼き立てはもちろん最高ですが、数日経ってからの方が熟成が進んで美味しいという人もいるくらい。とってもフワッフワで、溶けるような食感は一度食べたら忘れられません。

円筒形で高さのある特徴的な形状

パネトーネの形は円筒形。食パンのように縦に高さがあって、見た目にもとってもインパクトがあります。お店で売られているものは、紙製の型に入った状態で販売されていることが多いですね。

この高さのある形が、実は後ほど説明する「潰れやすさ」につながってくるんです。重力に逆らって高く膨らんだパンは、それだけ自重で潰れるリスクも高いということ。美しい形を保つには、ちゃんとした冷まし方が必要になってくるわけです。


パネトーネを逆さに吊るす理由とは?潰れるメカニズムを解説

さあ、ここからが本題です。なぜパネトーネは逆さに吊るす必要があるのか?その理由を詳しく見ていきましょう。

パネトーネが潰れやすい4つの原因

パネトーネが他のパンに比べて潰れやすいのには、はっきりとした理由があります。

1. 油脂が多い バター、卵などをたっぷり使ったリッチな配合のため、生地そのものが柔らかくなります。油脂が多いと、グルテンの結びつきが弱くなって、構造を支える力が弱まるんです。

2. 水分が多い しっとりとした食感を出すために水分量も多め。水分が多いということは、それだけ生地が重くなり、柔らかくなるということです。

3. パネトーネ種により生地が非常に柔らかい パネトーネ種を使った生地は、乳酸菌の働きでとても柔らかく仕上がります。この柔らかさが美味しさの秘密でもあるのですが、同時に形を保ちにくい原因にもなっているんです。

4. 背が高く縦にボリュームのある形状 円筒形で高さがあるため、自重がかかりやすい構造になっています。高ければ高いほど、下の部分にかかる重さも増えていくわけですね。

「腰折れ」とは?自重で潰れてしまう現象

パン作りの世界では、焼き上がったパンが自分の重さで潰れてしまうことを「腰折れ」と呼びます。特に食パンやパネトーネのように縦に高さのあるパンで起こりやすい現象です。

焼きたて直後のパネトーネは、見た目は完璧に膨らんでいても、内部はまだふわふわで支えが弱い状態。オーブンから出して普通に置いておくと、どうなると思いますか?

そう、自分の重さに耐えきれず、じわじわと潰れていってしまうんです。特に下半分が押しつぶされて、せっかくの美しい円筒形が台無しになってしまいます。

私も一度経験がありますが、30分後に見に行ったら見事に腰が折れていて、本当にショックでした…。あんなに時間をかけて作ったのに、最後の最後で失敗するなんて。

逆さに吊るす科学的理由:冷却による内部構造の固定

では、なぜ逆さに吊るすと潰れないのか?ここには科学的な理由があります。

パネトーネの内部は、グルテンの骨組みと発酵由来の気泡による網目状の構造でできています。焼き上がり直後は、この構造がまだ熱くて柔らかい状態。

ここからが重要なポイント。熱が抜ける過程で、この網目状の構造が固まっていくんです。冷めることで、グルテンの結びつきが強化され、形を保てる強度に変化していきます。

つまり、「形を保ちたい→冷めるまで形を固定する必要がある→だから逆さにして冷ます」という理屈なんですね。

逆さに吊るすことで、自重による圧力が分散され、形が崩れるのを防ぎながら冷却できるというわけです。重力を味方につけた、とても理にかなった方法なんですよ。


パネトーネの正しい吊るし方|実践的な方法とコツ

理論は分かったところで、実際にどうやって吊るすのか?具体的な手順とコツをお伝えします。

パネトーネを吊るす様子

焼成時間の目安:30〜45分以上かけてじっくり焼く

まず、パネトーネは中までしっかり火を通すために、一般的なパンに比べて焼成時間を長く取ります。大きさにもよりますが、だいたい30〜45分。大きいものだともっとかかる場合もあります。

表面が焦げないように気をつけながら、中心部まで完全に火が通るまでじっくり焼くのがポイント。中心温度が、92〜95℃になっていればOKです。

焼き上がり直後の吊るし方手順

焼き上がったら、ここからが勝負です!すぐに吊るす作業に取りかかってください。タイミングがとても重要なんです。

手順はこうです:

  1. オーブンから取り出したら、底から1cm程のところに針金を刺す
  2. 針金や金串の両端をラックやフックに引っ掛けて、パネトーネを逆さに吊るす
  3. そのまま完全に冷めるまで放置

針金や金串を刺す位置は、底から1cmくらいが目安。この位置がとてもバランスがいいです。

パネトーネを吊るす様子

左端のは中心からずれて、若干斜めっていますね^^;

針金の代用品|竹串や菜箸でもOK

「針金なんて家にないよ!」という方、安心してください。竹串や菜箸でも代用できますよ。

パネトーネの重さに耐えられて、ラックなどに引っ掛けられるものなら何でもOKです。

私も最初は針金がなくて、家にあった竹串を使いました。それでも全く問題なく、美しく仕上がりましたよ。

自然冷却で中の水分を蒸発させる

吊るしている間、パネトーネは自然冷却によって中の水分が少しずつ蒸発していきます。これも、長期保存を可能にする重要なプロセスなんです。

冷却時間は、サイズにもよりますが2〜3時間ほど。完全に冷めるまで、我慢して触らないようにしましょう。途中で確認したくなる気持ちは分かりますが、ここは辛抱です!


パネトーネ作りで失敗しないためのポイント

せっかく作るなら、失敗したくないですよね。私の経験から、特に気をつけたいポイントをまとめました。

焼成温度と時間の管理

焼き色だけで判断せず、中心部まできちんと火が通っているか確認してください。竹串テストをするか、オーブン用の温度計で中心温度を測るのが確実です。

生焼けのまま吊るしてしまうと、冷める過程で生地が落ちてしまうことがあるそうです。しっかり焼けていることを確認してから取り出しましょう。

吊るすタイミングを逃さない

焼き上がったら、できるだけ早く吊るす作業に入ってくださいオーブンから出して10分も放置してしまうと、その間に潰れ始めてしまう可能性があります。

冷めてから吊るしても、もう手遅れ。内部構造が不完全な状態で固まってしまっています。熱いうちに吊るす、これが鉄則です。

しっかり冷ますまで触らない

途中でつついたり、触って確認したくなる気持ちは分かります。でも、完全に冷却されるまでは絶対に触らないでください

まだ温かいうちに触ると、せっかく固まりかけていた内部構造が崩れてしまう可能性があります。2〜3時間、じっと我慢。これが美しいパネトーネへの道です。


私がこの記事を書ける理由

実は私、パネトーネを焼いてきた経験があります。最初に作ったとき、「なぜわざわざ吊るすのか?」と疑問に思って、面倒だからと普通に冷ましてしまったんです。

結果は…見事に腰折れして潰れてしまいました。あの時の悔しさは今でも忘れません。せっかく時間をかけて発酵させて、焼き上がりは完璧だったのに、最後の最後で台無しにしてしまったんです。

それから、パネトーネ種の特性や生地の柔らかさ、油脂・水分量の多さという特徴をしっかり勉強しました。科学的な理由を理解することで、この伝統的な製法の意味が本当に腑に落ちたんです。

針金だけでなく竹串や菜箸でも代用できることも、試行錯誤の中で発見しました。「家にあるもので工夫する」というのは、パン作りの楽しさの一つですよね。

イタリアの伝統製法には、長い歴史の中で培われた確かな理由があります。この記事が、皆さんの美しいパネトーネ作りのお役に立てれば嬉しいです。

パネトーネ

まとめ:パネトーネを逆さに吊るして美しい形を保とう

パネトーネを逆さに吊るす理由、理解していただけましたか?最後にポイントをおさらいしましょう。

  • パネトーネは油脂・水分が多く、生地が柔らかいため潰れやすい
  • 逆さに吊るすことで、冷却中の内部構造を固定できる
  • 焼き上がり直後に底から1cmのところに針金を刺して吊るす
  • 針金がなければ竹串や菜箸でも代用可能
  • じっくり自然冷却させることで、美しい形と食感が完成する

一見面倒に見える「吊るす」という工程ですが、これこそがパネトーネの美しさと美味しさを守る大切なステップ。イタリアの伝統製法を取り入れて、ふわふわで美しいパネトーネ作りに挑戦してみてください!

失敗を恐れず、でも理由を理解した上で丁寧に作業する。それが、美味しいパン作りの秘訣です。あなたのパネトーネが美しく仕上がりますように!


━━━━━━━━━━━━━━━
🎁 メルマガ:電子書籍PDF版(1000円相当)を無料プレゼント中!

━━━━━━━━━━━━━━━

フリーゼのメールマガジンでは、「レッスンのご案内」、「パン作りのコツやポイント」、「講師のつぶやき」などを配信しています。

メルマガ登録してくださった方には、Amazon Kindleで出版中の書籍『「こねる」からはじまる、おいしいパン作り』PDF版(1000円相当)を無料でプレゼントしています💝
ぜひ受け取ってくださいね♪

👉 [メルマガ登録はこちら]

━━━━━━━━━━━━━━━
🥐 こだわり酵母パン教室フリーゼについて
━━━━━━━━━━━━━━━

フリーゼでは、対面レッスン・オンラインレッスン随時受付中!
詳細はホームページをご覧ください♪

👉 [ホームページはこちら]

コメント